初回通過効果を語る上で、患者自身が注意すべき重要なポイントが「薬と食品の相互作用」です。その典型例として医療現場で厳しく指導されるのが、血圧降下薬(カルシウム拮抗薬など)とグレープフルーツジュースの組み合わせです。
グレープフルーツに含まれる「フラノクマリン類」という成分は、小腸に存在する代謝酵素CYP3A4の働きを強力に阻害します。本来であれば初回通過効果によって小腸で60〜70%ほど分解されるはずの薬が、代謝されずにそのまま素通りして体内に吸収されてしまうのです。
その結果、血中の薬物濃度が通常の数倍にまで跳ね上がり、急激な血圧低下やめまい、動悸といった重篤な副作用を引き起こす危険が生じます。初回通過効果は、薬の効果を落とす厄介な現象であると同時に、薬が体内で過剰に暴走しないようブレーキをかける重要な生体バリアでもあるわけです。