スーパーやコンビニの菓子コーナーで必ず目にする「たべっ子どうぶつ バター味」。赤い文字で記されたロゴのすぐ下、ピンクの鼻と丸いたてがみを持つライオンが両手を広げて微笑んでいます。しかし、ビスケットの全46種類を並べて確認しても、ライオン(LION)のビスケットは1枚も存在しません。
この事実を知った消費者の間では、「パッケージ詐欺ではないか」「実は激レアなシークレットとして入っているのでは」といった憶測が長年にわたり飛び交いました。この疑問に対し、メーカーである株式会社ギンビスが明かした公式の理由は、極めて現実的かつ職人技に根ざしたものでした。
たべっ子どうぶつライオンがいない理由の根幹にあるのは、ビスケットの製造工程における形状の問題です。ライオンの最大の特徴である「たてがみ」を金型で表現しようとすると、突起部分が細かくなりすぎてしまいます。ギンビスのたべっ子どうぶつビスケット型抜きの真相に関する説明によると、生地を金型から抜く際にたてがみの繊細な凹凸がちぎれてしまったり、高温のオーブンで薄焼きにする過程で突起部分だけが先に焦げてしまったり、輸送中に割れてしまったりするリスクをどうしても回避できなかったといいます。
1978年の発売当時、ギンビスは「子どもが安全に美味しく食べられ、英語を学べる」というコンセプトを掲げていました。割れやすく焦げやすい形状を無理に残すことは、製品の品質基準を満たさないと判断されたのです。その結果、ビスケットからは除外されたものの、「百獣の王であり、子どもたちに圧倒的人気を誇る動物」として、パッケージの主役には堂々と抜擢されるというユニークな逆転現象が誕生しました。
あわせて知っておきたいのが、ギンビスたべっ子どうぶつバター味の秘密です。パッケージには「バター味」と大きく記載されているにもかかわらず、実は原材料に固形バターそのものは使用されていません。植物油脂とマーガリンを絶妙なバランスで配合し、生地に焙煎ごまを練り込むことで、独特のコクと香ばしさを生み出しています。さらに「卵不使用」を徹底し、食物アレルギーを持つ子どもでも安心して食べられる設計が施されている点も、半世紀近く愛され続ける理由の一つです。