近年の美容医療トレンドにおいて、従来のQスイッチレーザーに代わり「テープ保護が不要」「ダウンタイムが短い」と宣伝されてきたピコレーザー(ピコスポット)ですが、ネット上の掲示板や知恵袋、SNSでは「ピコスポットを受けたのに全く消えなかった」「逆に輪郭がぼやけて広がった」といった否定的な口コミが散見されます。このギャップは一体どこから生じているのでしょうか。
取材した複数の皮膚科医が口を揃えるのは、患者側の「ダウンタイムゼロ信仰」とクリニック側の「過剰なマーケティング」の乖離です。ピコ秒(1兆分の1秒)単位で照射するピコレーザーは、熱作用ではなく光音響効果(衝撃波)でメラニンを微粒子状に粉砕するため、周囲組織への熱緩和時間は極めて短く抑えられます。しかし、深部に沈着した色素を一度に粉砕しようとすれば、相応の内出血や炎症後色素沈着は不可避です。「テープを貼らなくていい手軽なシミ取り」と安易に受診した層が、施術後に現れる赤みや茶色い戻りジミを予期しておらず、「話が違う」「失敗された」と後悔の念を募らせる図式が浮き彫りになっています。
さらに、個人の「シミ取り ダウンタイム 経過ブログ」を読み漁ることで起きる認知の歪みも見逃せません。ブログやSNSで拡散されるのは、「3日で完全にシミが消滅した」という極端な成功事例や、反対に「一生消えない傷跡が残った」という極端な被害報告に偏りがちです。個々の角質層の厚みや基礎疾患、ホルモンバランスによって皮膚の修復スピードは全く異なるにもかかわらず、他人の数日目の画像と自身の肌をミリ単位で比較し、深刻な精神的ストレスを抱えてしまう受診者が増殖しています。