耳垢が湿っている理由の根本には、遺伝によって決定される「汗腺のタイプと分布」が深く関わっています。人間の耳垢は大きく分けて、カサカサした「乾性耳垢(乾燥タイプ)」と、ベタベタしたペースト状の「湿性耳垢(軟性耳垢)」の2種類に分類されます。
耳の穴(外耳道)には、皮脂腺のほかに「アポクリン汗腺(耳道腺)」と呼ばれる特殊な汗腺が存在します。このアポクリン汗腺から分泌される分泌物は脂質やタンパク質を豊富に含んでおり、分泌量が多い人ほど耳垢が湿り気を帯びる仕組みです。
湿性耳垢と乾性耳垢の割合は遺伝子(ABCC11遺伝子)の型によって生まれつき決まっており、湿性耳垢の遺伝子は優性遺伝します。世界的に見ると欧米人やアフリカ系では約9割以上が湿性耳垢ですが、日本人を含む東アジア人は乾性耳垢が約8割強を占め、日本国内で湿性耳垢を持つ人は約16〜20%前後と少数派です。そのため、周囲と比べて「自分だけ耳垢が湿っているのではないか」と不安に感じる人が多い傾向にあります。