なぜ人口約58万人を抱える中核都市・鹿児島市にスポッチャが存在しないのでしょうか。産業構造と施設開発の両面から現場を取材すると、明確な3つの障壁が浮かび上がってきます。
第1の要因は、「建物構造と天井高・床面積の物理的制約」です。スポッチャを導入するためには、屋内外にわたる広大な多層フロアに加え、バドミントンやテニス、アーチェリーなどの球技を行うための特殊な吹き抜け構造や高い天井高が必須となります。ラウンドワン鹿児島宇宿店は既存の商業ビル構造に最適化された設計となっており、後からスポッチャ用の大規模なスポーツスペースを増設・改築するには建替レベルの巨額投資が必要となります。
第2の要因は、「商圏人口と設備投資回収のシミュレーション」です。スポッチャを備えた「ラウンドワンスタジアム」業態は、建設費・維持管理費・安全管理スタッフの人件費が通常店舗の約1.8倍から2.5倍に膨らみます。同社は近年、国内においては大都市圏や複数都市からの集客が見込める交通結節点へ優先投資を行っており、南九州エリアにおける投資配分は宮崎店および熊本店に集中させている背景があります。
第3の要因は、「ロードサイド立地と敷地面積の確保難」です。鹿児島市内でスタジアム型店舗(広大な平面・立体駐車場を併設した超大型施設)を新設するには、臨海部や郊外幹線道路沿いに数万平方メートル規模の用地を確保する必要がありますが、用地取得コストや用途地域の制限が開発のハードルとなっていると分析されます。