物語の舞台は、活気あふれる「さくら保育園」。昼寝の準備中、ミニカーの取り合いからけんかを始め、仲裁に入ったみずの先生の手をひっかいてしまったさとしとあきらは、お仕置きとして真っ暗な押し入れの上下段に別々に閉じ込められてしまいます。
暗闇と孤独の中で、2人は互いの存在を確かめ合うようにすき間から固く手を握り合います。すると、壁のシミや先生の脅かし文句から生まれた怪物ねずみばあさんが、無数のネズミの大群を引き連れて2人に襲いかかります。子どもたちは逃げ場のない絶体絶命の危機の中、ミニカーや想像上の蒸気機関車「デゴイチ(D51)」を走らせ、知恵と勇気を振り絞って暗闇の世界を疾走します。
やがて時間が経ち、心配した先生が押し入れの引き戸を開けて「もう謝るなら出てもいいのよ」と声をかけます。しかし、過酷な冒険を共に生き抜き、精神的に成長を遂げた2人は、大人の都合の良い妥協には屈しませんでした。お互いの手を決して離さず、自分たちの尊厳を守るように「あやまらない」「でない」と宣言するのです。
その姿を見た先生は、力で子どもを従わせようとした自らの過ちと、子どもたちが持つ揺るぎない心の強さに気づき、思わず2人を強く抱きしめて涙を流します。大人の一方的な支配を超え、子どもと保育者が本当の意味で心を通わせる感動的な結末こそが、半世紀にわたり読者の胸を打ち続ける最大の要因です。