新品の茶筅をおろす際には、「水通し・湯通し(茶筅通し)」と呼ばれる儀式的な準備が必要です。新品の茶筅は中心部の穂(絞り)が固く丸まっており、外側の穂先もカールしています。ボウルにぬるま湯を張り、茶筅を数分間浸すことで、竹の繊維に水分が行き渡り、しなやかな弾力が生まれます。これを行わずにいきなり硬い状態で抹茶を点てると、穂先がポキポキと折れる原因になります。
日々の使用を重ねるうちに、中心の穂先が外側に開き、全体のシルエットが広がってしまう現象が起こります。この穂先の開きを元に戻すために不可欠なアイテムが「くせ直し(茶筅直し)」です。
くせ直しは、中央がぷっくりと膨らんだ陶器製の専用スタンドです。濡れた状態の茶筅を中心の突起に上から優しく差し込むことで、外側の穂先と内側の穂が正しいカーブに矯正されながら自然乾燥します。もし専用のくせ直しがない場合の代用保管としては、細身の小さな湯呑みや盃のフチに穂先が触れないよう逆さに立てるなどの方法がありますが、形状記憶と乾燥効率を両立させるためには専用のくせ直しを常備することを推奨します。