獣医学統計において、猫の痙攣発作を引き起こす要因は「特発性てんかん」と、他の基礎疾患に起因する「構造性・症候性てんかん(二次性てんかん)」に大別されます。犬と比較して、猫は特発性(原因不明)てんかんよりも、脳炎、脳腫瘍、頭部外傷、あるいは肝不全・慢性腎不全による尿毒症・重度低血糖といった二次性発作の割合が約5割以上を占めるという臨床的特徴があります。
早期に察知すべき猫のてんかん発作の初期症状として、全般発作に至る前の「焦点発作(部分発作)」が存在します。これは全身ではなく、顔面の一部だけが小刻みに引きつる、突然空中の見えない虫を捕まえるように口をパクパクさせる(ハエ噛み様運動)、あるいは睡眠中に突然呼吸が荒くなり、異常なよだれを垂らしながら不規則に身もだえするといった前駆症状です。
睡眠中に激しいピクつきとともに「呼吸が異常に荒く、肩で息をしている」「歯茎が白っぽく、舌が紫色になっている(チアノーゼ)」場合は、横紋筋の過剰運動によって体温が急上昇する悪性高熱症や、肺水腫、重度の心筋症(肥大型心筋症に伴う血栓塞栓症の前兆)が重なっている危険性も否定できません。
さらに、近年注目を集めているのが猫における睡眠障害(レム睡眠行動障害)です。本来であれば脱力しているはずの夢遊病的な筋活動が抑制されず、睡眠中に突然壁に激突したり、唸り声を上げながら爪を立てて暴れ回るケースが報告されています。これは加齢に伴う中枢神経の変性や認知機能不全症候群(猫の認知症)とも密接に関係しており、高齢猫を飼育する家庭では単なるピクつきと侮れないリスク要因となります。