ニキビそのものは完治しているのに跡だけが残り続ける背景には、皮膚内部で起きている組織損傷の違いが存在します。ニキビ跡は大きく「赤み」「色素沈着(茶色・黒ずみ)」「クレーター(陥没変形)」の3パターンに分類され、それぞれ消えないメカニズムが全く異なります。
まず、ニキビ跡赤み消えない原因の多くは、ニキビの炎症によって傷ついた組織を修復しようと毛細血管が新生・拡張し、皮膚の薄い部位から血液中のヘモグロビンが透けて見えている状態にあります。炎症が深部にまで及んでいた場合、毛細血管の増殖が数カ月から1年以上にわたって持続し、わずかな血流の変化でも赤みが強調されてしまいます。
次に、茶色く残るニキビ跡色素沈着の治し方を理解する上で重要なのがメラニンの排出機構です。激しい炎症の刺激によって表皮の基底層にあるメラノサイトが過剰活性化し、大量のメラニン色素が生成されます。通常であればターンオーバー周期と肌再生期間(健康な20代で約28日、30代〜40代では45日〜60日程度)に伴って古い角質とともに体外へ排出されますが、摩擦刺激や紫外線対策の不備、加齢による新陳代謝の低下が重なると、メラニンが表皮や真皮上層に沈着して固定化します。
そして最も深刻なのが、肌が凸凹になるクレーターです。炎症が皮膚の奥深くにある真皮層から皮下組織にまで達すると、肌のハリを支えるコラーゲンやエラスチンが不可逆的に破壊されます。修復の過程で硬い線維組織(瘢痕組織)が形成されて皮膚を深部へ引き下げてしまうため、ターンオーバーの及ばない真皮深層が陥没したまま固定されます。これが、クレーター状ニキビ跡の皮膚科治療において外用薬だけでは歯が立たない生理学的理由です。