日本の芸能界における小川知子の足跡を振り返る際、欠かすことのできない伝説が数多く存在する。幼少期から子役として活動していた彼女が、一躍トップスターへの階段を駆け上がるきっかけとなったのが、1968年にリリースされた名曲「ゆうべの秘密」だった。
甘く切ない歌声と可憐なビジュアルは、当時の若者たちの心を瞬く間に捉えた。この大ヒットをバックアップしたのが、当時エンターテインメント界の覇者として君臨していた渡辺プロダクションである。綿密なセルフプロデュースと革新的なプロモーション展開により、彼女は単なるアイドル歌手の枠を超え、歌謡曲シーンを代表する稀代の歌姫へと脱皮を遂げたのだった。
当時の歌謡曲は、単なる音楽のジャンルを超えた時代そのもののエネルギーであった。テレビの黄金期とともに歩んだ彼女の活躍は、日本全体の熱気と見事にシンクロしていたのだ。