深夜2時。静まり返った大田区平和島の通りに、そこだけ熱気を孕んだ明かりがぽつりと浮かび上がる。トラックの排気音、高速道路の高架下を通り抜ける風。そして、否応なしに食欲を刺激する豚骨の匂いだ。
平和島という土地柄、近隣には物流拠点や臨海部の工業地帯が広がる。夜通し働く人々にとって、ここは単なる飲食店ではない。過酷なシフトを終えた身体を労わり、明日への活力を充填するための「オアシス」なのだ。店内を覗けば、仕事着姿の男性から、わざわざ車を走らせてきた若いカップル、一人で黙々と丼に向き合う常連客まで、多種多様な人々が肩を並べている。