商社マンとしてのキャリアを重ねてきた籾井氏は、民間企業流のコスト削減とトップダウン型マネジメントを持ち込んだ。三井物産時代に培ったスピード感と効率重視の経営は、一見すると巨大組織の改革に必要な毒薬に見えた。
しかし、公共性と視聴者還元を最優先すべき公共放送の現場において、利益追求型のビジネスロジックは激しい反発を生んだ。経費削減の圧力は現場の取材活動を圧迫し、中長期的な調査報道に必要なリソースを削ぎ落としていった。効率化の影で失われたのは、目に見えないジャーナリストたちの取材意欲と組織内の自由な議論の風土だった。