ドバイ移住の最大の動機となってきた「完全無税」という看板は、法制度の刷新によって過去のものとなりました。UAE政府が導入した連邦法人税(標準税率9%)は完全に定着し、現地のビジネス環境に新たな規律をもたらしています。
フリーゾーン(経済特区)に設立された企業については、一定の要件を満たす「適格所得」であれば引き続き0%の優遇税率が適用されます。しかし、コンプライアンス要件や実質的事業活動(エコノミック・サブスタンス)の審査基準は年々厳格化しており、いわゆるペーパーカンパニーを用いた単純な節税スキームは通用しなくなりました。
一方で、個人に対する所得税、住民税、キャピタルゲイン税、相続税・贈与税は依然としてゼロ(非課税)が維持されています。このため、暗号資産の投資家や上場株式の売却益を狙う個人投資家、事業売却を控えた創業者にとっての税務的メリットは依然として世界屈指の水準を保っています。「誰でも簡単に無税の恩恵を受けられる時代」は終わったものの、実態のある事業と正当なスキームを持つ層にとっては、今なお強力な拠点であり続けています。