日本の放送史において、女性アナウンサーの立ち位置を根本から覆したのは1980年代のフジテレビだった。当時の『オレたちひょうきん族』や『オールナイトフジ』などの看板番組において、アナウンサーがバラエティのコントに加わり、タレントと対等なテンポで掛け合う光景は、従来の「堅苦しい報道の現場」という固定観念を劇的に打破した。
山村美智子や寺田理恵子といった草分け的存在が画面で見せた親しみやすさと素顔の魅力は、全国の視聴者を惹きつけた。「女子アナ」という言葉が流行語となり、彼女たち目当てでチャンネルを合わせるファンが急増したのもこの時期だ。情報を伝える手段にすぎなかったアナウンス職が、視聴者の感情を動かす「個のメディア」へと昇華した瞬間であった。