どれほど素晴らしい品格の手土産を用意しても、渡し方や作法を誤れば相手に悪印象を与えてしまいます。基本のマナーを正確に押さえておくことが不可欠です。
通常の商談では、「名刺交換を終え、本題に入る前の着席時」に手渡すのが最も自然です。紙袋から品物を取り出し、相手から見て正面になるよう時計回りに向きを変えて両手で差し出します。この際、「つまらないものですが」といった過度なへりくだりは避け、「評判の銘菓でございます。皆様で召し上がっていただければ幸いです」と一言添えるのが、洗練されたプロフェッショナルの振る舞いです。紙袋はそのまま持ち帰るのが基本ですが、外出先での面談などの場合は「紙袋のまま失礼いたします」と断りを入れて渡す柔軟性も求められます。
注意が必要なのは、トラブル対応や謝罪訪問の場面です。謝罪時の手土産は、相手の怒りを鎮めるための小細工と取られないよう、「会談の冒頭ではなく、すべての説明とお詫びを受け入れていただいた後」にお渡しするのが鉄則です。品物は「誠意の重み」を象徴する、ずっしりと重量感のある高級羊羹や老舗の銘菓を選びます。のし紙は「無地のし(水引なし)」または「白黒・黄白の結び切り」を用い、表書きは「深謝」や「粗品」とするのが礼儀です。