まず、混乱しがちな名称と時系列を正確に押さえておきたい。「東急ハンズ渋谷店」は、2026年3月31日(木)午後7時をもって、44年の歴史に幕を下ろした。閉店当日は多くの常連客が詰めかけ、店舗前では記念撮影をする人の姿が深夜まで見られたという。
閉店の直接的な引き金は、渋谷区道玄坂二丁目地区第一種市街地再開発事業だ。同店が入居していた「渋谷東急ビル」を含む一帯が、老朽化と耐震性の問題から建て替えの対象となった。報道各社の当時の取材によれば、東急グループは「再開発に伴う建物の除却に合わせた閉店であり、業績不振による撤退ではない」と公式コメントを出している。
2026年現在、旧店舗があった場所には地上28階建て・高さ約150メートルの複合ビルの建設が進み、すでに低層階の商業区画が部分開業している。再開発区域全体の完成は2027年度中を予定しており、渋谷駅西側の動線が大きく変わることになる。
名称から消えた「東急」——ブランド再編の裏側
閉店と同じ2026年、運営会社の東急ハンズ株式会社は「株式会社ハンズ」へ商号変更を行い、店舗ブランドからも「東急」の文字が外された。背景には、2026年にホームセンター大手のカインズが東急ハンズの株式を取得し、東急グループの資本が希薄化したことがある。
つまり、「東急ハンズ渋谷」が消えたのは、単なる店舗の閉店ではなく、「東急系列のハンズ」という時代の終わりを意味していたのだ。