ネット上の情報では「縦書きの数字崩れはすべて全角に直せば良い」といった解説が散見されますが、これは半分正しく、半分は誤りです。1桁の数字であれば全角入力で美しく並びますが、2桁以上の数値を全角で縦並び(例:「2」「6」が縦に連なる状態)にすると、日本語の読書リズムが大きく阻害され、視読性が著しく低下します。
また、「縦書きにすると句読点(、。)や閉じカッコ()」の位置がズレる」という相談も後を絶ちません。この多くは、欧文用フォント(ArialやTimes New Romanなど)を日本語テキストに適用してしまっていることが原因です。日本語の約物(約物グリフ)を正確な位置に表示させるには、「游明朝」「BIZ UDP明朝」「ヒラギノ明朝」といった縦書きグリフ情報を正しく備えた和文フォントを必ず優先フォントに指定してください。
【プロの結論】縦書きレイアウトに向いている文書・避けるべき場面の判断基準
DTPや編集実務の観点から言えば、すべての文書を無理にWordの縦書きで作成する必要はありません。ツールの得手不得手を理解した上での運用判断が業務効率を左右します。
【Word縦書きが極めて向いているケース】
・小説、随筆、エッセイなどの文芸原稿
・式辞、祝辞、挨拶状、感謝状などの儀礼的文書
・自治体・学校関係の規約や案内状
・日本語テキストが主体の縦組み冊子原稿
【Word縦書きを避けるか、横書きを検討すべきケース】
・3桁以上の数値データや統計グラフが頻出するビジネス財務レポート
・URLやプログラムコード、英語論文の引用が多用される技術文書
・複雑な結合セルを持つ大規模な集計表を含む資料
後者のような文書でどうしても縦書きが必要な場合は、本文のみを縦書きとし、データ表やグラフは別枠の横書きテキストボックスまたは横向きセクションとして独立させる設計が最適解となります。