人口50万人を超える中核市であり、観光需要も極めて旺盛な姫路市に、なぜ大戸屋は出店してこなかったのでしょうか。流通アナリストやフードサービス業界の出店モデルを分析すると、明確な構造的要因が浮かび上がります。
外食チェーンが地方都市へ展開する際、物流効率や店舗管理コストを最適化するために一定エリアへ集中的に出店する「ドミナント出店戦略」が採られます。大戸屋は首都圏で絶大なドミナントを形成している一方、関西圏においては大阪市内および阪神間の主要駅周辺から順次足場を固めていく方針をとってきました。明石市までは物流網と統括マネジメントが届いているものの、西播磨の中心である姫路までは出店コストと収益回収スピードのバランスから優先順位が後回しにされてきた側面があります。
また、兵庫県播磨エリアは全国屈指の外食定食チェーン激戦区です。「まいどおおきに食堂(姫路飾磨食堂など)」を展開するフジオフードグループや、関西圏で強力な基盤を持つ「やよい軒」、さらには地元発祥のローカルな和食処・カフェ文化が根強く根付いています。ロードサイド型店舗の敷地確保競争や駅前一等地の賃料コストを勘案した結果、企業側が慎重な姿勢を崩していないことが姫路未出店の本質的背景といえます。