2026年3月末、多くのファンに見送られながらグランドフィナーレを迎えた箱根 星の王子さまミュージアム(正式名称:星の王子さまミュージアム 箱根サン=テグジュペリ)。世界で唯一の『星の王子さま』をテーマにした常設ミュージアムが、なぜその歴史に幕を下ろすことになったのか、その深層には複数の構造的課題が存在していました。
運営母体であるTBSグループ(TBSテレビ・TBSスパークル)が発表した公式リリースおよび当時の事業報告によると、閉館の筆頭理由として挙げられたのは「建物の老朽化」です。1999年6月の開館以来、20年以上にわたって仙石原の厳しい気候条件(冬季の凍結や湿気、硫黄成分を含む温泉街特有の環境)に晒され続けた施設は、外観の美しさを維持する裏で、躯体や空調、給排水設備の大規模改修が不可避な状態に達していました。
さらに、2026年から続いた新型コロナウイルス感染拡大によるインバウンド消失と国内旅行需要の激変が決定打となりました。文化発信拠点としての役割を全うしつつも、億単位に及ぶ設備改修投資を回収することは中長期的に困難であると経営判断が下されたのが、星の王子さまミュージアム 営業終了の真相です。