「息を深く吸い込んだ瞬間にピキッと痛む」「上半身をねじると胸の奥が痛む」など、動作や呼吸と痛みが連動している場合、原因の所在は心臓そのものではなく骨格系か肺組織にある可能性が濃厚です。
呼吸すると胸がチクチクする症状において、外来受診者の中で最も高い頻度を占めるのが肋間神経痛の原因に関連するトラブルです。肋骨と肋骨の間を通る神経が、長時間の不良姿勢(デスクワークや猫背)、冷え、運動不足による胸郭の硬直によって締め付けられることで発症します。咳やくしゃみ、深呼吸によって肋骨が開閉する動きそのものが刺激となり、電気が走るような一過性の鋭痛が引き起こされます。
しかし、同じ「呼吸時の痛み」であっても、突如として片側の胸に激痛が走り、徐々に息苦しさが加わってくる場合は自然気胸のサインを警戒しなければなりません。自然気胸は、肺の表面にできた嚢胞(ブラ)が破裂し、吸い込んだ空気が胸腔内に漏れ出して肺が押し潰される疾患です。「息を吸おうとしても胸の奥がチクチク・ズキズキと痛んで深く吸えない」「階段を上がるだけで異様に息が切れる」といった自覚症状が典型であり、放置すると緊張性気胸へ進行して循環破綻を招くリスクがあります。
体をひねったり手で押したりして痛むなら肋骨・筋肉・神経由来、押しても痛点が変わらず息苦しさが先行するなら肺の器質的障害を疑うのが現場診断の鉄則です。