西遊記』岸部シローの沙悟浄はなぜ伝説に?知られざる撮影秘話と人気の真相

西遊記』岸部シローの沙悟浄はなぜ伝説に?知られざる撮影秘話と人気の真相

西遊記』岸部シローの沙悟浄はなぜ伝説に?知られざる撮影秘話と人気の真相の重要なポイントについて、分かりやすい解説を取りまとめてご紹介します。

ドラマ『西遊記』が今なお語り草となっている最大の理由は、キャスト同士の生々しいぶつかり合いから生じたグルーヴ感にあります。当時の撮影現場は、CG技術が存在しない時代ならではのアナログ特撮と過酷なロケーション撮影の連続でした。鳥取砂丘や阿蘇山、栃木県の採石場跡地などを中国大陸の荒野に見立て、猛暑や極寒のなかで長時間の撮影が敢行されたと記録されています。

特に沙悟浄の特殊メイクは過酷を極めました。頭頂部にカッパの皿を取り付けるため、毎朝早くから特殊メイク用のラバーキャップを装着し、頭皮を締め付けられる痛みに耐えながら撮影に臨んでいたといいます。岸部シローさんは当時の対談や手記において、「頭が蒸れて痒くてたまらないのに、掻くこともできないのが一番の拷問だった」と述懐していました。

そうした過酷な現場を支えたのが、三蔵法師を演じた夏目雅子さんの圧倒的な神々しさと優しさでした。夏目さんの清らかな笑顔は現場のオアシスであり、男性キャスト陣のモチベーションそのものだったと伝えられています。そして、現場で常に火花を散らしていたのが、堺正章さんと西田敏行さんのアドリブ合戦でした。

台本に書かれた台詞は序の口で、ひとたびカメラが回れば西田さんが福島弁混じりのユーモアで仕掛け、堺さんがシャープなツッコミで倍返しにする。その丁々発止のやりとりに対し、岸部シローさんは決して前に出すぎず、「お前ら、いい加減にしなさいよ」「師匠が困ってるだろ」とボソッと一言放つだけでシーン全体をかっさらうという、計算し尽くされた引き算の美学を発揮していました。

林 結菜
著者

林 結菜

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。