松原市民図書館の最大の特徴は、周囲の池と調和したダイナミックな水上立体構造にあります。設計を手掛けたのは、手塚建築研究所(手塚貴晴+手塚由比)。ため池の埋め立てや単なる親水公園化にとどまらず、池そのものを建物のランドスケープとして再定義した試みは、国内外の著名な建築賞を多数受賞するなど極めて高い評価を獲得しています。
外壁を構成するのは、厚さ600mmに及ぶ強固な鉄筋コンクリート連壁です。ため池の水圧や地盤条件に耐えうる土木技術を建築へと昇華させ、重厚なコンクリートの外殻の内側に、柔らかな木製ルーバーや温もりのある本棚を対比的に配置。館内の大型ピクチャーウインドウからは水面と緑地が一体となったパノラマが広がり、水鳥の羽ばたきや波紋の揺らめきが読書体験に心地よいリズムをもたらします。
この空間構成は、外光の移ろいとともに館内の表情を劇的に変化させます。自然光が水面で乱反射し、天井や壁面に光のゆらぎを描き出す設計は、人工照明に頼り切った従来の公共施設とは一線を画す「光と水のミュージアム」としての価値を創出しています。