「アンニョン」はハングルで안녕と表記します。この言葉のルーツは、古代中国から伝わった漢字語の「安寧(あんねい)」にあります。文字通り「何事もなく穏やかであること」「無事であること」を祈るニュアンスを含んでおり、歴史的には「何事もなく無事にお過ごしでしたか?」という安否確認の問いかけから発展した表現です。
日本語話者がまず驚くのは、その活用範囲の広さです。「アンニョン」は英語の「Hello」と「Bye」を兼ね備えた言葉であり、「会ったとき」と「別れるとき」の双方で全く同じように使える特徴を持っています。朝昼晩の時間帯を問わず使えるため、日本語の「おはよう」「こんにちは」「こんばんは」「じゃあね」「またね」をすべて一言でカバーできる極めて機能的な挨拶フレーズです。
発音とイントネーションにおいても、ネイティブならではのニュアンスが存在します。「アンニョン」のハングル表記「안녕」は、前後のパッチム(ㄴ/ng/n音)の響きがポイントです。日本語のカタカナのように平坦に「アン・ニョン」と区切るのではなく、滑らかに「アnニョng」と鼻に抜けるように発音します。
また、イントネーションの語尾をわずかに上げると明るい出会いの挨拶になり、語尾を柔らかく下げる、あるいは伸ばすと穏やかな別れの挨拶として機能します。親しい友人同士では語尾に愛嬌を込めて「アンニョ〜ン(안뇨~옹)」と発音されるケースも多く見られます。