「飛行機の中にスナック菓子を持ち込むと、上空で袋がパンパンに膨らんで爆発するのではないか」という疑問は、SNSなどでも定期的に話題に上るトピックです。この現象には、航空機が航行する高度とキャビン内の気密構造が深く関係しています。
飛行機内でお菓子が気圧によって破裂すると言われる理由は、ボイルの法則(温度が一定のとき、気体の体積は圧力に反比例する)による物理現象です。旅客機が巡航高度(約1万〜1万2,000メートル)に達した際、機外の気圧は地上(約1気圧=約1013hPa)の約4分の1まで低下します。機内は与圧装置によって標高約2,000メートル(富士山5合目相当)と同等である約0.75〜0.8気圧に調整されているため、地上で密封されたパッケージ内部の空気が外側へ向かって押し広がり、袋が約1.2〜1.3倍に膨らむわけです。
では、実際に破裂事故は起きるのでしょうか。製菓メーカー(カルビーや湖池屋など)の包装技術開発データや航空会社の検証によると、日本国内で流通している一般的なスナック菓子のアルミ蒸着フィルム袋は、高度変化による気圧差に耐えられる溶着強度が確保されています。そのため、通常のスナック菓子が上空の気圧変化だけで自然破裂するケースは極めて稀です。
ただし、以下の条件下では破損や内容物の飛散リスクが跳ね上がります。
- 手荷物棚や座席下で外圧が加わった場合:膨張して張り詰めた状態の袋に他の手荷物がぶつかったり、押し潰されたりすると、溶着部分が一気に裂けて中身が飛び散る原因になります。
- 簡易包装・海外製パッケージ:海外ローカルのスナック菓子や、手動で熱圧着された簡易袋はシールの強度が低く、上空で口が開いてしまう事例が報告されています。
- プラスチックカップ容器の蓋:スナック菓子以外でも、密閉されたプラスチックフィルム蓋(ゼリーやヨーグルト等)は上空でドーム状に膨らみます。機内で開封する際、気圧差で中の果汁が衣服や周囲の乗客に飛び散りやすいため、ティッシュで覆いながらゆっくり開封するのが現場での鉄則です。