『斉木楠雄のψ難』の最終回は2018年13号。打ち切りではなく、作者サイドからの申し出による完結だったことは、当時のジャンプ編集部が公式に認めている。しかし、その理由について麻生周一が公の場で詳細を語ることは少なく、ファンの間では様々な憶測が飛び交ってきた。
最も有力視されているのは、長期間の週刊連載による肉体的・精神的疲弊だ。連載後期には、作者の体調不良による休載が断続的に発生していた。当時の編集部コメントや巻末の作者コメントを時系列で追うと、2017年後半から「体調管理に苦慮している」「万全の状態で描けない」といった趣旨の発言が増えている。週刊連載は1話約17ページ、ネームから作画まで実質5〜6日で回す過酷なスケジュールだ。6年間で約280話を描き切った計算になるが、これはギャグ漫画という頭脳戦的なジャンルにおいて、想像以上の消耗を伴う。
また、麻生は後年、いくつかのインタビューやラジオ出演で「やり切った感があった」と語っており、燃え尽き症候群に近い状態だったことがうかがえる。人気絶頂期での自発的完結は、作品のクオリティを保つための苦渋の決断だったのだろう。
さらに、連載終了からしばらくして作者がSNSで「アニメの最終回を見て泣いた」「スタッフに感謝しかない」と投稿したことは、当時大きな話題になった。『斉木楠雄のψ難』はアニメ版も高評価で、特に神谷浩史(斉木楠雄役)をはじめとする声優陣の演技は原作ファンからも絶賛された。麻生自身もアニメの完成度に深く感銘を受けていたことが、その後のインタビューで明かされている。