美秀美術館“桃源郷”の正体|建築家I. M. ペイが山奥に隠した異次元設計と訪問前に知るべき真実

美秀美術館“桃源郷”の正体|建築家I. M. ペイが山奥に隠した異次元設計と訪問前に知るべき真実

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美秀美術館の設計を語る上で外せないのが、中国の古典『桃花源記』だ。陶淵明が記したこの物語は、漁師が川を遡るうちに洞窟を見つけ、その先に広がる理想郷へ迷い込むという筋書き。I.M.ペイはこの物語に着想を得て、来館者を「現代の漁師」に見立てた動線を設計した。公式発表資料や開館当時の建築専門誌による関係者取材によると、ペイは敷地を初めて訪れた際に「ここは桃源郷だ」と述べたという逸話が残る。

実際のアプローチは、受付棟から電気自動車で山中を移動し、トンネルを抜け、橋を渡って本館へ至る構成。この「暗いトンネルから光あふれる世界へ抜ける」体験そのものが、物語の追体験として機能する。単に建物を見せるのではなく、到着までの時間と空間の変化を設計に織り込んだ点が、他の美術館と一線を画す所以だ。

また、環境への配慮も見逃せない。完成後の上空写真が示す通り、屋根部分は周囲の山林に溶け込み、地上からは建物の存在を感じさせない。山の稜線を変えないために展示室の約8割を地下に埋設し、掘削した土を戻して植生を回復させるという手法が取られた。美秀美術館の建築家としてのペイの本領は、ルーブル美術館で見せた「対比による革新」ではなく、「同化による調和」にあった。

吉田 誠
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吉田 誠

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