フランス料理の古典的な技法体系において、フリカッセ(fricassée)は非常に重要な位置を占める肉料理の調理法です。その起源は中世フランスにまで遡り、14世紀の著名な料理書『ル・ヴィアンディエ(Le Viandier)』にもその原型となる記述が見られます。
語源と由来を紐解くと、フランス語の「炒める・揚げる(frire)」と「小さく切る・砕く(casser)」という2つの動詞が合体して生まれた言葉とされています。つまり、一口大にカットした肉を油脂で炒め、その後に液体を加えて煮込むという二段階の調理プロセスそのものが、料理名として定着しました。
フランス料理におけるフリカッセの意味は、単に「クリーム味の煮込み」ではありません。最大の技術的特徴は、「素材にメイラード反応(濃い焼き色)をつけずに油脂で優しく炒め、白さを保ったまま仕上げる」点にあります。主に鶏肉、仔牛肉、ウサギ肉といった「白い肉(viande blanche)」が用いられ、肉の繊維を固く締め上げることなく、ジューシーな旨味を白いソースの中に閉じ込めるのが本質です。