紅白のステージでまふまふ氏が歌唱曲に選んだのは、自身のオリジナルミリオン楽曲ではなく、ボカロP・カンザキイオリ氏が手掛けた名曲『命に嫌われている。』でした。
初出場歌手が自作曲ではなくカバー曲を歌唱することは、紅白の歴史上でも極めて異例の事態です。この選曲の背景には、大きく分けて2つの明確な理由が存在していました。
- ネット音楽文化(ボカロ・歌い手界隈)への恩返しとリスペクト:自身を育ててくれたニコニコ動画やYouTubeのカルチャーそのものを背負い、「ボカロ楽曲の持つ文学性とエネルギーを国民的番組で証明する」という強い意志。
- 混迷を極めていた社会へのダイレクトなメッセージ:2026年当時は新型コロナウイルスの蔓延により、多くの人々が孤立や生きづらさを抱えていた時期でした。「軽々しく死にたいなんて言うな」「生きろ」とストレートに叫ぶ歌詞を通じ、絶望の淵にいる人々へ生きる力を届けたいという切実な祈り。
NHKホールの厳かな空気の中、オーケストラを従えて披露されたハイトーンボイスと魂の叫びは、単なるエンターテインメントの枠を超え、一つのドキュメンタリーのような迫力を持って全国のお茶の間に届けられました。