本作の制作発表時、世間を最も驚かせたのは「石原さとみの相手役がなぜ銀杏BOYZの峯田和伸なのか」という配役の妙でした。従来の王道ラブストーリーであれば、容姿端麗な人気若手俳優がキャスティングされるのが通例です。しかし、脚本を手掛けた野島伸司氏とプロデューサー陣には明確な狙いがありました。
関係者の証言や当時のインタビューによると、野島氏が求めたのは「計算されたイケメンの優しさ」ではなく、「不器用だが底が知れない人間本来の温もりと哀愁」でした。NHK連続テレビ小説『ひよっこ』などで見せた峯田さんの生々しく飾らない人間味が、まさに「傷ついた天才が唯一鎧を脱げる止まり木」としての風間直人像に合致したのです。
放送開始直後は、SNSや掲示板などで「ビジュアルのギャップが激しすぎる」といった戸惑いの声も見られました。しかし回を追うごとに、直人の発する一言一言の重みや、ももを静かに見守る包容力に視聴者が引き込まれ、放送終了後には「直人役は峯田和伸以外に考えられない」「最高のハマり役」と絶賛の嵐へと変わっていきました。
また、主演の石原さとみさん自身も、打ち上げの席や後のインタビューで「この作品に命を削って挑んだ」と涙ながらに語るほど強い思い入れを持って挑んでおり、生々しい感情のぶつかり合いが画面越しに伝わる名セッションとなりました。