北一硝子三号館を訪れる誰もが息をのむ場所、それが館内喫茶「北一ホール」です。このホールの特徴は、店内の照明に電気を一切使わず、合計167個の石油ランプの光だけで営業している点にあります。
特筆すべきは、毎朝行われるランプの点灯作業です。開店直前の朝8:45頃から、スタッフが長い点火棒を手に持ち、1基ずつ丁寧に手作業でマッチを擦るように火を灯していきます。中央の巨大なシャンデリアに火が灯ると、滑車を使ってゆっくりと高い天井へと引き上げられていきます。この一連の所作はまるで神聖な儀式のようであり、静寂の中に響く靴音とオイルランプ特有の柔らかな香りが、訪れた旅人を非日常の世界へと引き込みます。
現代の都市生活では味わえない「1/fゆらぎ」を持つ本物の火の粉と陰影は、視覚的な美しさだけでなく、張り詰めた神経を芯からほぐすリラクゼーション効果をもたらします。観光関係者の間でも「小樽で最も贅沢な朝の過ごし方」として知られており、この点灯作業を見学するために開店前から列ができることも珍しくありません。