人類を人類たらしめる特徴は何か。道具の使用や言語の獲得よりも前に、まず「二足歩行」があったというのが通説だ。だからこそ、この化石が本当に立って歩いていたのかという問いは、人類の定義そのものに関わる極めてセンシティブな問題なのである。
頭蓋骨の発見から数年後、同じ場所で見つかっていた大腿骨(太ももの骨)の分析が始まると、議論はさらに混沌を極めた。一部の研究者は「この大腿骨の形状は、直立歩行というよりも、むしろ木登りが得意なチンパンジーに近い」と主張。これにより、「人類の祖先」という王座から引きずり下ろされそうになる局面が何度もあった。