黄昏時の出会いを語る上で避けて通れないのが、宮水神社に代々受け継がれてきた「組紐」の存在です。一葉が語った「糸を繋げることもムスビ、人を繋げることもムスビ、時間が流れることもムスビ」という教えは、作品全体の設計図そのものでした。
三葉が東京へ行き、まだ自分を知らない3年前の瀧に手渡した赤い組紐。瀧はそれを3年間、願掛けのブレスレットとして右腕に身につけ続けていました。山頂での黄昏時、瀧はその組紐を三葉の手首へと返却します。
この小道具の授受は、3年前に過去の三葉から未来の瀧へ渡された「時間の環(ループ)」が、ここで正式に持ち主へと還流したことを意味しています。組紐はよじれ、絡まり、時には戻りながらも繋がる「時間のメタファー」であり、黄昏時という境界の消失点において、ついに一本の完全な結び目(ムスビ)を結んだ瞬間でした。