受診希望者の間で広く流布している誤解の一つに、「選定療養費という追加料金さえ払えば、どんな科でも当日すぐに診察を受けられるはずだ」という思い込みがあります。しかし、これは明確な誤りです。
医療現場の安全と診療精度を維持するため、大学病院の各医局・専門科では受診制限を設けています。例えば東海大学医学部付属病院の消化器内科の公式案内では、「かかりつけ医からの紹介状を持参の上、事前予約を取ること」が明記されています。こうした特定診療科では、選定療養費を支払う意思があっても、当日の飛び込み受診を原則として受け付けていません。
また、窓口で看護師によるトリアージ(緊急度判定)が行われ、自覚症状が比較的軽度で緊急性がないと判断された場合、「当院での当日対応は困難なため、近隣のクリニックへの受診」を勧められる可能性もあります。病院側にとっても、生命維持に関わる重篤な患者への対応が最優先されるためです。
もう一つの盲点は救急外来受診との混同です。「外来の受付時間が過ぎていたから」「平日の昼間に待つのが嫌だから」という理由で夜間・休日の救急外来(ER)へ直接駆け込むケースが散見されます。しかし、救急外来でも緊急性がない軽症と判定された場合は、通常の診療費に加え、時間外選定療養費(数千円〜1万円前後)が別途徴収される運用が一般的です。救急車を呼ぶほどの急変でない限り、時間外の受診は医療費・医療リソースの両面で極めて不適切なアプローチとなります。