「クレカタッチ決済が使えるならSuicaが使えなくても問題ない」と考えるのは早計です。現場を取材すると、キャッシュレス決済ならではのデジタルな落とし穴が浮き彫りになってきます。
誤認多発!「Suicaを紐づけたApple Pay」は通らない
極めて多い誤解が、「スマートフォンをかざしたのにエラーで弾かれた」というトラブルです。原因を検証すると、利用者は「Apple Payなら何でも通る」と思い込み、端末側でSuicaやPASMOをエクスプレスカードに設定したままタッチしているケースが後を絶ちません。
改札機や車載リーダーは「タッチされた信号」を読み取ります。鹿児島交通のリーダーはクレカの国際通信規格(EMVコンタクトレス)しか受け付けないため、端末がFeliCa規格のSuica情報を送信してしまうと瞬時に読み取りエラーとなります。スマートフォンで支払う場合は、必ずウォレットアプリを開いて明示的にVisaやJCBなどのクレジットカード画面を表示・選択した状態でかざす必要があります。
同伴者の複数人決済と残高制限の制約
家族旅行やグループ移動時にも制約があります。交通系ICカードのような感覚で「1枚のクレジットカードで同伴者3人分を払う」ことは、原則として車載リーダーのタッチ操作だけでは処理できません。タッチ決済は仕様上、「1回の乗降につきカード1枚・名義人1名」が基本設計となっているためです。
複数人の運賃をまとめて1枚のカードで支払う場合は、タッチする前に乗務員へ「2人分です」と申告し、運転手が運賃箱の操作を行ってから決済端末を操作する必要があります。これを怠って連続タッチしようとすると、不正二重タッチ防止機能が作動して端末がロックされる仕様となっています。