この遊びの象徴である「だるま」とは、言わずと知れた禅宗の開祖である達磨大師を指している。壁に向かって9年間も座禅を組み続け、手足が腐敗してなくなったという苛烈な伝説で知られる人物だ。なぜこれほど厳格な宗教家が、子供の遊戯の名に冠されたのだろうか。
説の一つとして、倒れても起き上がる「起き上がり小法師」の形をした玩具が江戸時代に普及したことが挙げられる。壁に向かって静止する鬼の姿が、面壁九年の修行に励む達磨大師の姿と重なった。さらに「転んだ」というフレーズは、七転び八起きの不屈の精神を表すと同時に、動いてはならないという逆説的なルールと結びついたと考えられている。