手が届かない背中のムダ毛を何とかしようと、自力での処理を試みる人は大勢います。刃物メーカーの貝印が運営するメディア「Kai Life」でも、工夫次第で自己処理は可能とされつつも、細心の注意が必要であると指摘されています。見えない背中を手探りで処理する行為には、想像以上のリスクが伴います。
まず、一般的なT字カミソリを使った処理は極めて危険です。肩甲骨の間や背骨の窪みは骨格の起伏が激しく、鏡越しでは刃の当たる角度を正確にコントロールできません。無理な体勢でカミソリを走らせると、目に見えない無数の細かい傷(マイクロテア)が角質層に刻まれ、肌のバリア機能が瞬時に破綻します。その傷口から黄色ブドウ球菌などの常在菌が侵入し、後述する難治性の毛嚢炎を引き起こす温床となるのです。
手軽さを求めてドラッグストアで除毛クリームに手を伸ばすのも禁物です。市販の除毛クリームの主成分である「チオグリコール酸カルシウム」は、毛を構成するケラチンタンパク質をアルカリの力で強力に融解させます。毛と同じタンパク質でできている皮膚の角質層に対しても、当然ながら強い刺激を与えます。
手の届きにくい背中では薬剤をムラなく塗布することが難しく、規定の放置時間を超えて付着したままになったり、シャワーで完全に洗い流せず成分が毛穴に残存したりしがちです。その結果、激しい接触皮膚炎(かぶれ)や化学熱傷、さらには炎症後色素沈着を引き起こし、ムダ毛以上に目立つ黒ずみや赤みを背中全体に残してしまう危険性を孕んでいます。