一般のライトファンにありがちな誤解として、「富士山麓のレースだから全体的にずっと上り坂を走っているのではないか」あるいは「市街地を走るから7区以外はほぼ平坦なのではないか」という極端なイメージがあります。
実際には、1区から4区にかけては全体として約100m以上も下る下り基調であり、ここでスピードを出しすぎたランナーは大腿四頭筋に大きな衝撃ダメージを受けます。前半で脚を使い果たしてしまうと、中盤以降の細かなアップダウンに対応できなくなり、後半区間で突如として大失速を招きます。
【プロの結論】スポーツ科学とメンタリティから見出す勝者の条件
スポーツ運動生理学の観点から分析すると、富士山女子駅伝を制するチームには2つの明確な特徴があります。
第一に、「下り耐性」と「上り適性」の明確な役割分担ができている点です。筋力特性として大腿部前側のエキセントリック(伸張性)収縮に強い選手を前半の下り区間に、体幹の安定性と腸腰筋を活かした引き上げが得意な選手を7区に抜擢する指導陣の眼力が欠かせません。
第二に、「集団走に頼らない単独走能力」です。富士山女子駅伝は全日本に比べてチーム間のタイム差が開きやすく、多くの区間で単独走を強いられます。前の選手が見えない状況でも自分の設定ペースを刻み続けられる強いメンタルバウンダリー(心理的境界線)を持つ選手を多く揃えたチームが、最終的に頂点へと上り詰めます。