だんご庄の団子を購入したすべての人が目にするのが、「賞味期限:本日中」という潔い表記です。現代の和菓子業界では、脱酸素剤の封入や冷凍技術の進化、トレハロースなどの糖類配合によって数日〜数週間の日持ちを実現する商品が主流となっています。しかし、だんご庄は頑なに当日中の消費を求め、オンライン通販や地方発送(お取り寄せ)を一切行っていません。
その背景には、職人が守り続ける「出来立ての物理的・化学的バランス」への徹底したこだわりがあります。
だんご庄の団子は、上新粉(米粉)を蒸し上げて丁寧についた団子を、初代から受け継がれる醤油ベースの秘伝の甘蜜にくぐらせ、極細かく挽いたきな粉を空気を含ませるように纏わせています。保存料や防腐剤などの添加物は一切使用されていません。時間が経過すると、きな粉が団子の蜜の水分を吸って次第にしっとりと重くなり、きな粉本来のふんわりとした香ばしい風味が損なわれてしまいます。さらに、米のデンプンが時間とともに老化(硬化)し、独特の柔らかなコシが失われてしまうのです。
「その日の朝についた団子を、きな粉の香りが最も立っているその日のうちに食べてほしい」という創業140余年の信念こそが、地方発送を断り、奈良の店頭でしか買えない“幻の味”としての価値を高め続けています。