国内における法制化をめぐる議論は、依然として停滞と模索が続いています。日本の法制化議論の最新動向を検証すると、超党派の議員連盟による「尊厳死法案(終末期医療における延命治療の不開始・中止を医師免責とする法案)」の構想自体は長年提出が試みられてきました。
しかし、法曹界や障害者団体、日本医師会などからの強い懸念により、国会提出には至っていません。主な反対理由として以下の論点が挙げられます。
第一に、「尊厳死の法制化」が一度成立すれば、医療費抑制の観点や社会的な空気によって、高齢者や難病患者、重度障害者が延命治療を拒否せざるを得ない「見えない圧力(滑り坂理論)」が働くのではないかという懸念です。
第二に、現在の地域包括ケアシステムや在宅緩和ケアの供給体制が地域によって偏在しており、「苦痛のない十分なケアを受けられないまま死を選択せざるを得ない人」を生み出しかねないという構造的問題です。
政界関係者の証言によると、2026年現在も「積極的安楽死の法制化」を推進する主要政党は存在せず、政府・厚生労働省は一貫して「法制化よりもACP(人生会議)の普及・浸透を優先する」方針を堅持しています。法で一律に命の線引きを決めるのではなく、個々の患者・家族・医療者の合意形成を積み上げる運用の徹底こそが現実的な解とされているのです。