公用車事故の賠償責任は誰に?税金補填と運転手自腹の境界線を暴く

公用車事故の賠償責任は誰に?税金補填と運転手自腹の境界線を暴く

公用車事故の賠償責任は誰に?税金補填と運転手自腹の境界線を暴くについての疑問解決ガイドをご紹介します。

公用車による人身・物損事故が発生した場合、被害者に対する法的な損害賠償責任は一体誰が背負うのでしょうか。一般の民間事故であれば、ドライバー本人および車両の保有者(自動車損害賠償保障法第3条に基づく運行供用者責任)が連帯して賠償義務を負いますが、公務員が公務中に引き起こした事故には特殊な法理が適用されます。

最大の根拠法となるのが国家賠償法第1条第1項です。公権力の行使や公務の遂行にあたる公務員が、職務を行うについて過失によって他人に損害を与えた場合、被害者に対して直接の賠償責任を負うのは「国または公共団体(自治体)」です。最高裁判所の判例(最判昭和30年4月19日など)においても、被害者保護と行政活動の円滑化の観点から、公務員個人が直接被害者に対して民事上の損害賠償義務を負うことは否定されています。つまり、第一義的には被害者への損害賠償金は税金(公費)あるいは行政が加入する共済・保険から支払われます。

しかし、これは「運転した職員が一切身銭を切らずに済む」ことを意味しません。鍵を握るのは、国家賠償法第1条第2項に規定された「求償権」の存在です。

国や自治体は被害者へ損害を賠償した後、事故を起こした公務員に「故意または重大な過失(重過失)」があった場合に限り、支払った賠償金の返還を職員個人に請求(求償)できます。赤坂の特許庁前事故のように、法定速度を大幅に超過する時速130キロでの暴走や赤信号の見落とし・無視、あるいは酒気帯び運転、極度の居眠り運転などは、裁判実務上ほぼ例外なく「重過失」または「故意」と認定されます。結果として、自治体の求償権が行使され、数千万円から億単位にのぼる賠償金が運転手個人の自己負担(自腹)としてのしかかる仕組みになっています。

森 瞳
著者

森 瞳

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