完全禁煙化が進むにつれて表面化しているのが、乗客側の身勝手な解釈によるルール違反です。特にネット上や知恵袋などで散見される「電子タバコなら煙が出ないからデッキで吸っても平気」「トイレに駆け込んでiQOSを吸えばバレない」といった言説は、人生を狂わせかねない重大な誤解を孕んでいます。
公式の運行規約において、新幹線電子タバコ加熱式タバコ禁止の扱いは紙巻きタバコと一切区別されず、完全に同一の規制対象です。煙が出にくいとされる加熱式タバコであっても、蒸気や微細な粒子、特有の加熱臭を周囲に放ちます。密閉された新幹線の車内デッキで使用すれば即座に周囲の乗客から車掌へ通報が入ります。
最も深刻な被害をもたらすのが、密閉された個室であるトイレ内での隠れ喫煙です。新幹線のトイレ天井には極めて高感度な煙・熱感知器が義務付けられて配備されています。感知器がタバコの煙や加熱式タバコの蒸気を検知した瞬間、運転席と車掌室に非常警報が鳴り響き、安全システムが介入して列車が急停車する事態に発展します。
悪質なケースでは、パニックになった喫煙者が非常ドアコックに手を触れてしまい、新幹線車内喫煙非常コック操作による二次トラブルを引き起こした前例すらあります。新幹線を非常停止させた場合、鉄道営業法違反や威力業務妨害罪に問われるだけでなく、数万人規模の乗客に影響を及ぼした遅延損害賠償を鉄道会社から請求されるリスクを背負うことになります。「誰も見ていないから」という一瞬の油断が招く代償は、あまりにも天文学的です。