芽瑠璃堂が単なる小売店にとどまらず、日本の音楽カルチャー史において不可欠な存在とみなされる最大の理由は、自社で企画・制作を手がける独立系リイシューレーベルの存在にあります。その中核を担うのが「クリンクレコード(CLINCK RECORDS)」と「オールデイズレコード(OLDAYS RECORDS)」です。
クリンクレコードは、1960年代から80年代の邦楽・洋楽を、オリジナルアナログ盤の質感そのままに再現する「精密な紙ジャケット復刻」で国内外から激賞されてきました。単なる音源の再製品化ではなく、当時のデザイナーの息遣いまで再現した装丁、熱心な音楽評論家による新規書き下ろしライナーノーツなど、徹底したアーカイブ精神が宿っています。
一方のオールデイズレコードは、パブリックドメインとなった世界各国のオールディーズ、ソフトロック、ドゥーワップ、ガレージロックなどの歴史的マスターピースを、1枚あたり税抜1,000円〜1,500円前後の破格で提供し続ける驚異のレーベルです。紙ジャケット仕様に丁寧な解説を付属させながらこの価格を実現したことで、若い世代が過去の膨大な名曲群へアクセスする入門口としての役割を果たしてきました。
自前の製造レーベルを持つ小売店だからこそ、他店では手に入らない貴重なボーナス特典や、独自プレスの限定バージョンを展開できます。予約受付が開始された瞬間に特定のマニアが芽瑠璃堂へ殺到するのは、こうした直営ならではの独自コンテンツへの高い信頼があるからです。