ドバイの人工島群を語る上で欠かせないのが、世界的な成功モデルとなった「パーム・ジュメイラ」と、未完の巨大遺跡と化した「ザ・ワールド」という残酷なまでのコントラストです。
パーム・ジュメイラ 現在の姿は、まさに世界の超富裕層が集うグローバル・リビエラそのものです。象徴的リゾートであるアトランティス・ザ・パームや、2026年に開業して話題をさらった超高級ホテル「アトランティス・ザ・ロイヤル」を頂点に、名だたる5つ星ホテルが立ち並びます。枝状に伸びた居住エリア(フロード)にはプライベートビーチ付きの邸宅が整然と並び、観光客がモノレールからその壮観を眺めるドバイ人工島 観光 見どころの筆頭として君臨しています。治安の良さ、タックスヘイブンの魅力、そして地政学的な中立性を背景に、欧州、ロシア、アジアの富裕層が本拠地を移転させたことで、不動産需要は爆発的なピークを迎えています。
一方で、沖合4キロメートルに位置する「ザ・ワールド」に足を踏み入れると、光景は一変します。世界地図を模して配置された約300の人工島のうち、実際にリゾートや別荘として開発が進んだのは「アナンタラ・ワールド・アイランズ・ドバイ・リゾート」や欧州をテーマにした「ハート・オブ・ヨーロッパ」など全体のわずか数パーセントに過ぎません。残りの島々は、草木も生えない平坦な砂山としてペルシャ湾の波間に放置されています。
なぜザ・ワールド 沈没 理由や失敗が囁かれる事態に陥ったのか。最大の要因は、本土と直結する道路橋が存在せず、水上交通と自家発電、自己完結型の海水淡水化装置に依存せざるを得ない「致命的なインフラコストの重さ」です。2008年の世界金融危機で買い手の国際開発業者が次々と破綻し、島への電力・水道の海底パイプライン敷設構想は雲散霧消しました。維持管理の採算が合わず、多くの島が転売すら困難な不良資産として取り残されたことが、このプロジェクトの決定的な敗因となりました。