SNSやネット掲示板では「日本の技術力があればすぐに最強の軍隊ができる」「イージス艦とF-35があるから日本は安全だ」という楽観論が散見されます。しかし、防衛・安全保障の専門家が現場取材を通じて警鐘を鳴らすのは、兵器カタログのスペックと実際の作戦能力の乖離です。
自衛隊が直面する最大の構造的危機は「深刻な人員不足と定員割れ(充足率の低下)」です。少子高齢化の急進に伴い、自衛官候補生の採用目標達成率は近年著しく低下しています。どれほど高価で高度な護衛艦や戦闘機を調達しても、それを運用・整備する隊員が不足すれば、組織全体の即応力は著しく損なわれます。
また、現代戦の勝敗を左右する「サイバー・宇宙・電磁波」という新領域において、日本は法制度上の制約(憲法第21条の通信の秘密や専守防衛の解釈)もあり、他国に比べて「アクティブ・サイバー・ディフェンス(能動的サイバー防御)」の法制化や人材育成で後れを取ってきました。兵器の数という目に見える指標にとらわれると、国家防衛の真の急所を見誤ることになります。