最終回の結末は決して突発的な暴走ではなく、第1話から緻密に積み上げられた「絶望の伏線」の帰結でした。直木賞作家であり『SP 警視庁警備部警護課第四係』や『BORDER 警視庁捜査一課殺人犯捜査第4係』を手掛けた脚本家・金城一紀氏は、特捜班を取り巻く人間関係の相関図そのものに逃れられない罠を仕掛けていました。
特捜班の統括役である鍛治大輝(長塚京三)の存在はその最たる例です。鍛治は特捜班を「国家の危機を秘密裏に処理する都合のいいゴミ箱」として冷徹に運用していました。第7話で平成維新軍と呼ばれる若者たちの反乱を鎮圧した際も、鍛治は事件の本質である政治家の汚職には一切手を触れず、権力構造の維持だけを最優先しました。
特捜班の各メンバーが抱えていた過去の傷痕も、彼らを反逆へと駆り立てる導火線となりました。
- 稲見朗(小栗旬):自衛隊特殊部隊時代、国の上層部からの命令によって無抵抗の人間を射殺したトラウマを抱え、重度のPTSDに苦しみ続けていた。
- 田丸三郎(西島秀俊):かつて公安部外事課で過激派組織への潜入捜査を命じられ、情報提供者となった女性の人生を狂わせた罪悪感を拭えずにいた。
- 吉永三成(田中哲司):元警視庁捜査一課のエリート刑事でありながら、警察組織の不正を許せず特捜班へと左遷され、家族関係も崩壊していた。
- 樫井勇之助(野間口徹):元自衛隊の爆発物処理班で、共感覚を持つ天才肌。理不尽な命令で仲間を失った過去を持つ。
- 大山玲(新木優子):かつて凄腕のサイバーハッカーとして活動していたが、警察に摘発され、その能力を買われて特捜班に組み込まれた。
彼らは全員が「国家に裏切られた経験」を持ちながら、それでも「現場で誰かを救いたい」という最後の善意を頼りに踏みとどまっていました。しかし、権力側の理不尽な圧力によってその善意が完全に踏みにじられたとき、彼らにとって国家は守るべき対象から「倒すべき敵」へと変貌を遂げたのです。