甲子園における鳴門高校の存在感を全国に決定づけた象徴的な出来事として、高校野球ファンが今なお熱狂的に語り継ぐのが鳴門高校対大阪桐蔭の名勝負です。
とりわけ球史に残る一戦となったのが、2014年夏(第96回全国選手権)の2回戦です。当時、圧倒的な戦力を擁して優勝候補筆頭と目されていた大阪桐蔭に対し、鳴門高校は一歩も引かない猛攻を仕掛けました。初回から打ち合いとなり、逆転に次ぐ逆転のシーソーゲームを展開。鳴門は1年生エースだった左腕・河野竜生投手らが力投し、打線も鋭いスイングと足を使った揺さぶりで大阪桐蔭の強力投手陣から得点を重ねました。
結果は9対10という歴史的乱打戦の末に惜敗したものの、甲子園のスタンド全体が鳴門の粘り強さにスタンディングオベーションを送る異例の光景が広がりました。相手監督や選手たちが試合後の会見で「鳴門の食らいつく執念とプレッシャーは想像を絶するものだった」と吐露した通り、王者を崖っぷちまで追い詰めたその戦いぶりは、全国に「公立・鳴門の恐ろしさ」をまざまざと見せつけました。
さらに2026年春のセンバツ1回戦でも再び大阪桐蔭と激突。エース・冨田遼弥投手が切れ味鋭い変化球と抜群の制球力で大阪桐蔭の超強力打線を翻弄し、1対3の僅差で敗れたものの、再び全国の高校野球ファンを唸らせました。巨大戦力に対して真っ向から知略と技術で挑みかかる姿勢こそ、鳴門高校が高校野球ファンに愛される最大の理由です。