DJ LOVEがマスクを被り続ける背景には、単なるヴィジュアル演出にとどまらない、バンド創成期の人間ドラマと必然性がありました。実は、現在のDJ LOVEは「2代目」であり、結成当初には別の「初代DJ LOVE」が存在していました。
初代DJ LOVEが脱退を選んだ理由は、音楽活動の継続と自身の現実的な将来設計との葛藤でした。2000年代後半、インディーズでの活動が本格化する中で就職活動の時期を迎え、一般社会への道を選ぶ決意を固めたためです。
サウンドの要であるDJの離脱というバンド崩壊の危機に直面したFukaseが頼ったのが、高校時代からの友人であり、club EARTHの設立作業も手伝っていた現在の2代目DJ LOVEでした。当時のインタビュー取材や手記で語られたエピソードによると、Fukaseは「一生のお願いだから、初代が被っていたこのピエロマスクを被ってバンドに入ってくれ」と懇願したと明かされています。
引き受けた当初、本人は「サポート的な仮面」として一時的な参加を想定していたフシもありましたが、バンドの急速なメジャーブレイクに伴い、ピエロのキャラクターは切り離せないシンボルとなりました。初代へのリスペクトと、友人たちの夢を背負う覚悟が、現在までマスクを脱がない決定的な理由となっています。