懸賞金の世界において、前人未到の金字塔を打ち立てたのが第69代横綱・白鵬(現・宮城野親方)です。白鵬が残した歴代最多懸賞金記録は、今後破られることはないだろうと関係者の間で語り継がれています。
大相撲の歴史において、1場所で獲得した最多記録は2015年1月場所で白鵬が記録した「615本」です。1場所15日間で615本ということは、単純計算で1日平均41本もの懸賞を獲得し続けたことになります。この1場所だけで力士手取り現金は約1,845万円、納税充当金を合わせると3,690万円相当を稼ぎ出した計算です。
通算での白鵬の歴代懸賞金記録を見ると、生涯獲得本数は約9,000本を超えており、横綱の獲得懸賞金総額として換算すると、手取り・納税分を合わせた実質額は5億円以上という驚異的なスケールに達します。朝青龍、日馬富士、稀勢の里といった名横綱たちと繰り広げた名勝負の数々が、莫大な経済価値を生み出していた証左です。
また、取組の熱気があまりに過熱したため、協会は1番あたりの懸賞金上限を設けています。土俵を回る懸賞旗があまりに多すぎると制限時間内に呼び出しが回れなくなり、取組進行に支障をきたすため、現在は原則として「1番あたり最大60本前後」が運用上の上限とされています。
懸賞を出す懸賞金スポンサー企業一覧に目を向けると、日本の産業史が透けて見えます。永谷園(お茶づけ海苔)、森永製菓(森永賞)、伯方の塩といった食料品メーカーの定番から、近年では吉野家、ローソン、高須クリニック、さらにはIT企業やゲーム関連企業まで多岐にわたります。NHKの相撲中継では商業広告の放送が禁じられていますが、土俵上の懸賞旗や呼出しのアナウンスは「神事・伝統の演出」としてそのまま全国に生中継されます。この絶大な宣伝効果こそが、多くの企業が1場所100万円以上の費用を投じる最大のインセンティブです。