二枚屋王悦が親衛隊との直接戦闘において抜いた一振り、それが極限の斬れ味を宿した斬魄刀「鞘伏(サヤフシ)」です。刀身は常に鏡のように澄み渡り、触れるものすべてを抵抗なく両断する性能を有しています。
特筆すべきは、いかに強固な霊圧や物体を斬り裂いても「刃こぼれが一切生じない」こと、そして「血糊が一滴も付着しない」という物理法則を超越した滑らかさです。一太刀浴びせるだけで敵の肉体はもちろん、纏う武具ごと紙のように切断する様は、まさに斬撃の極致と呼ぶにふさわしい光景でした。
しかし、王悦自身はこの至高の刀を「失敗作」と吐き捨てています。その理由は、あまりにも刃が立ちすぎているために「刃を収めて保持できる鞘が存在しない」という致命的な欠陥を抱えているためです。通常の鞘に入れれば内側から両断して突き破ってしまうため、普段は鳳凰殿の巨大な水槽のような専用容器を満たす、粘度のあるゼリー状の液体の中に沈めて封印・保管されていました。
「滑らかすぎて鞘に収まらない」という逆説的な理由から尸魂界へ出荷されなかった刀が、防衛戦において敵を瞬く間に薙ぎ払う最強の凶器へと転じる展開は、久保帯人作品特有の研ぎ澄まされた美学を象徴しています。