警察庁が公表した最新の組織犯罪情勢統計によると、全国の暴力団構成員および準構成員等の数は約1万9,000人台にまで落ち込み、ピーク時(1963年の約18万4,000人)の1割程度にまで縮小した。この数字だけを見れば裏社会の力は劇的に失墜したように思える。しかし、新宿・歌舞伎町の現場においては、単純な構成員数の減少がそのまま治安の平穏や暴力団の消滅を意味しているわけではない。
現在の歌舞伎町における暴力団勢力図において、圧倒的な影響力を保持し続けているのが指定暴力団「住吉会」、取り分けその中核武闘派団体として恐れられてきた「幸平一家(こうへいいっか)」傘下の勢力だ。加藤連合会をはじめとする幸平一家系列の組織は、かつて歌舞伎町を主戦場として他団体との熾烈な縄張り争いを繰り広げ、この街における確固たる地盤を築き上げた歴史を持つ。
もちろん、六代目山口組やその分裂組織である神戸山口組、さらには極東会や稲川会といった有力団体の息がかかったグループも歌舞伎町内に点在している。しかし、露骨な縄張り誇示が即座に摘発に直結する現在、かつてのような白昼堂々の衝突は鳴りを潜め、互いの権益を侵害しないよう張り詰めた均衡状態を保っているのが実態だ。捜査関係者の解説によれば、現在の歌舞伎町は「抗争を起こした側が警察の集中取り締まりによって組織ごと自滅する構造」となっており、表面的な静けさは統制と警戒の産物といえる。